相談する

建設業許可と経審の基礎 許可が要る工事、5つの要件、更新と決算変更届、経審の流れ

元請から「次の工事から許可を取ってほしい」と言われて、初めて要件を調べる方が多い手続きです。2024年12月の改正で「専任技術者」は「営業所技術者」に呼び方が変わり、2025年2月には特定建設業の金額も変わりました。最新の要件と、許可を取ったあとに続く手続きをまとめます。

許可が要る工事

公共工事か民間工事かを問わず、建設工事を請け負うには建設業許可が必要です。ただし、次の「軽微な建設工事」だけを請け負う場合は、許可がなくても営業できます。

工事の種類 許可がなくても請け負える工事
建築一式工事 1件の請負代金が1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅
それ以外の工事 1件の請負代金が500万円未満

金額は消費税込みです。1つの工事を複数の契約に分けても、正当な理由がなければ合計額で判断します。注文者が材料を用意する場合は、その材料の市場価格も加えます。

知事許可と大臣許可、一般と特定

区分 分かれ方
知事許可 営業所が1つの都道府県だけにある
大臣許可 営業所が2つ以上の都道府県にある
特定建設業 発注者から直接請け負った工事で、下請に出す代金の合計が5,000万円(建築工事業は8,000万円)以上になる場合(2025年2月1日から)
一般建設業 上記以外。下請として受ける工事や、下請に出す額が小さい元請工事

許可は業種ごとに取ります。業種は、土木一式・建築一式の2つの一式工事と、27の専門工事の計29種類です。建築一式の許可があっても、内装だけ・屋根だけといった専門工事を単独で500万円以上請け負うときは、その専門工事の許可が必要です。

許可の要件

要件 中身 つまずきやすいところ
経営業務の管理を適正に行う能力 建設業の経営経験が5年以上ある常勤の役員(個人なら本人など)を置く。経験が足りない場合は、補佐する人を置く方法もある。健康保険・厚生年金・雇用保険の届出(適正な社会保険への加入)もここに含まれる 経験の年数分の確定申告書・契約書・請求書などがそろうか
営業所技術者(2024年12月までの呼び方は専任技術者) 営業所ごとに専任で置く。施工管理技士などの国家資格、指定学科の卒業+実務経験(高校卒業後5年・大学卒業後3年)、または10年以上の実務経験 実務経験10年を、工事の契約書や請求書で証明できるか
誠実性 請負契約で不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでない 役員・使用人も対象
財産的基礎 一般:自己資本500万円以上、500万円以上の資金調達能力(残高証明など)、直前5年の許可での継続営業のいずれか。特定:欠損が資本金の20%以下、流動比率75%以上、資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上のすべて 決算書の自己資本が足りなければ、申請前に残高証明を取る
欠格要件 破産して復権していない、許可の取消しから5年たっていない、暴力団員などに当たらない 役員全員が対象

営業所技術者になれる資格がなく、実務経験の証明も難しい場合は、2級施工管理技士などの資格を先に取る道もあります。施工管理技術検定の第一次検定は、2024年度から年齢の条件だけで受けられるようになりました。どの資格がどの業種の営業所技術者に当たるか、試験の合格と実務経験をどう組み合わせられるかは、行政書士に確かめます。

費用と期間の目安

申請 行政書士の報酬 申請手数料など 期間
新規(知事・一般) 10〜15万円 9万円 書類集め1〜2か月+審査30〜45日
新規(知事・特定) 15〜25万円 9万円 同上(財産的基礎の確認が増える)
新規(大臣) 20〜30万円 15万円(登録免許税) 審査おおむね90日
更新(5年ごと) 5〜8万円 5万円 有効期間が満了する30日前までに申請
業種追加 5〜10万円 5万円 約1か月
決算変更届(毎年) 3〜5万円 なし 事業年度が終わってから4か月以内

※目安です。報酬は事務所・地域・実務経験の証明の難しさで変わり、審査の期間は都道府県によって違います。

許可を取ったあとに続く手続き

手続き 期限 忘れたときに起きること
決算変更届 毎事業年度が終わってから4か月以内 更新や業種追加の申請で、出ていない年の分を求められる。経審も受けられない
変更届(商号・所在地・役員など) 変更から30日以内 届出の遅れとして指導の対象になる
経営業務の管理を行う役員・営業所技術者の変更 2週間以内 後任がいないと要件を満たさなくなり、許可は取り消される
更新 有効期間(5年)が満了する30日前まで 期限を過ぎると許可が切れ、新規で取り直しになる

社長が経営業務の管理を行う役員と営業所技術者を兼ねている会社は多くあります。社長の引退や病気で要件を満たさなくなると、会社が続いていても許可が取り消されます。後継者がいない場合の考え方は、コラム「後継者問題の選択肢」にまとめています。

経審(経営事項審査)とは

国や自治体の公共工事を発注者から直接請け負うには、経営事項審査(経審)を受けておく必要があります。

  1. 決算を終え、決算変更届を出す
  2. 登録経営状況分析機関に、経営状況の分析(Y)を申し込む
  3. 許可を受けた行政庁に、経営規模等評価(X・Z・W)を申請する
  4. 結果通知書を受け取る(総合評定値 P=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W)
  5. 発注する国・自治体ごとに、入札参加資格の審査を申請する

X1は完成工事高、X2は自己資本と利益、Yは経営状況、Zは技術者の数と元請の完成工事高、Wは社会性等の項目です。経審の結果は、決算日(審査基準日)から1年7か月だけ有効です。公共工事を切れ目なく受けるには、決算後4か月以内を目安に、毎年受け直します。

申請書類の作成は行政書士の業務です

建設業許可の申請書類を、報酬を得て作成・提出できるのは行政書士です。2026年1月1日に施行された改正行政書士法で、「いかなる名目によるかを問わず報酬を得て」書類を作ることが、行政書士以外には認められないと明確になりました。建設けいえいは、要件の自己診断と、建設業許可に強い行政書士のご紹介だけを行い、書類の作成・提出はしません。許可を出すかどうかは、許可行政庁が判断します。

許可を取る前に確かめたいこと

  1. 元請が求めている許可の業種と、一般・特定のどちらか
  2. 経営経験5年を証明できる書類が、年数分そろうか
  3. 営業所技術者になれる資格を持つ人、または実務経験10年を証明できる人がいるか
  4. 決算書の自己資本が500万円以上か(足りなければ残高証明で足りるか)
  5. 健康保険・厚生年金・雇用保険の届出が済んでいるか
  6. 法人化を予定しているなら、許可を個人で取るか、法人化してから取るか

要件の当てはまり方は、建設業許可の要件の自己診断で、項目ごとに「満たす/要確認/不足」で確かめられます(連絡先の入力なし)。許可を取ったあとの工程・写真・書類の管理は、施工管理アプリ・DXツール比較で比べています。