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建設業の2024年問題とは?残業の上限規制で工務店が見直すこと(工期・勤怠・書類仕事・下請との取引)

2024年4月1日から、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されています。人を増やしにくいなかで残業を減らすには、勤怠の記録、工期の決め方、現場と事務所の書類仕事の分け方を見直す必要があります。上限の中身と、経営者が手を付ける順番をまとめます。

上限規制の中身

建設業は、働き方改革関連法による時間外労働の上限規制が5年間猶予されていましたが、2024年4月1日から適用されています。

項目 上限
原則 月45時間・年360時間
特別条項がある場合(年) 年720時間以内
特別条項がある場合(月) 休日労働を含めて月100時間未満
特別条項がある場合(平均) 休日労働を含めて2〜6か月の平均がすべて80時間以内
月45時間を超えられる回数 年6回まで

災害の復旧・復興の事業では、「月100時間未満」と「2〜6か月平均80時間以内」は適用されません(年720時間と年6回は適用されます)。上限を超えて働かせると、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります。

月60時間を超える時間外労働の割増賃金率は、2023年4月1日から中小企業も50%以上です。残業を減らせないと、人件費も上がります。

建設業で何が起きているか

国土交通省の資料では、建設業は全産業と比べて年間の出勤日数が10日多く、総実労働時間は48時間長くなっています。休日は「4週6休程度」がもっとも多く、週休2日(4週8休)を確保できていない現場が多いのが実情です。

一方で、建設業で働く人は1997年の685万人から2025年には478万人に減りました。これまで残業で回していた分を、人を増やさずに埋める必要があります。

改正建設業法で変わった取引のルール

2024年から2025年にかけて、建設業法が段階的に改正されました。残業を減らすには、工期と請負代金の決め方も変わります。

施行 主な内容
2024年12月13日 契約書に「資材が高騰したときの請負代金の変更方法」を書くことが必要に。資材の高騰や人手不足のおそれは、契約前に受注者から注文者へ伝える
2025年12月12日 著しく低い労務費での見積り・見積り変更の依頼を禁止。受注者も、原価割れの契約や著しく短い工期の契約をしてはならない

国の「労務費に関する基準」(2025年12月に中央建設業審議会が勧告)は、職種ごとの適正な労務費の目安です。元請として下請に発注するときも、下請として受注するときも、見積書に労務費を分けて書き、工期と人数の根拠を説明できるようにしておくことが、残業を前提にしない工期を決める出発点になります。

経営者が見直す順番

  1. 勤怠を客観的に記録する:手書きの日報や自己申告では、月45時間を超えた月の回数や、2〜6か月の平均を集計できません。打刻(スマートフォン・ICカード)に変え、毎月、社員ごとの時間外と休日労働を集計します。
  2. 36協定の中身を確かめる:特別条項の上限、月45時間を超えられる回数、休日労働の扱いが、実際の働き方と合っているかを見直します。
  3. 工期を残業前提で組まない:4週8閉所を工程表に入れ、協力業者にも共有します。資材の遅れなどで工期が延びそうなときは、早めに注文者と変更を協議します。
  4. 書類仕事を現場から事務所へ移す:写真の整理、日報、安全書類、請求書の作成に、現場の担当者が夜の時間を使っていないかを確かめます。事務所でまとめられるものは移します。
  5. 協力業者との連絡を一本にする:LINE・電話・FAXに分かれた連絡は、確認と転送だけで時間がかかります。図面・工程・写真を同じ場所で共有できると、手待ちと手戻りが減ります。

施工管理アプリでできること・できないこと

施工管理アプリで減らせるのは、写真の整理、工程の共有、日報、協力業者への連絡など、「探す・送る・転記する」時間です。一方で、人手不足そのものや、工期の交渉はアプリでは解決しません。

定着させるには、職人に入力を求めず、「写真を撮って送る」だけの機能から始め、工程、原価の順に広げるのがコツです。協力業者にもアカウントを使ってもらうなら、協力業者アカウントが無料か有料かで年間の費用が大きく変わります。製品の選び方は施工管理アプリ・DXツール比較で、職人が使い続けるかという現場の目線で比べています。

導入費用は、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の対象になる場合があります。通常枠の補助率は1/2以内(条件により2/3以内)で、事前に登録されたITツールが対象です。公募回ごとに締切があるため、導入時期と合わせて確かめます。

一人親方との取引で気をつけること

一人親方は労働者ではないため、上限規制の対象外です。ただし、契約が請負でも、1社の指示どおりに時間を決めて働くなど実態が雇用に近い場合は、労働者と判断されることがあります。残業を減らすために社員を一人親方に切り替えることは、上限規制の対象から外す手段にはなりません。協力業者との関係はコラム「職人不足と協力業者網」で詳しくまとめています。

自社で確かめたいこと

  1. 直近1年で、月45時間を超えた月が年6回を超えた社員がいないか
  2. 休日労働を含めた時間外が、月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内に収まっているか
  3. 現場の写真・日報・安全書類を、誰が、週に何時間かけて作っているか
  4. 協力業者への連絡手段が、いくつに分かれているか
  5. 見積書と契約書に、労務費の内訳と、資材高騰時の請負代金の変更方法が書かれているか

上限規制の対応で人の手当てが必要になり、許可の業種を広げて元請の工事を受けたい場合は、建設業許可の要件もあわせて確かめておきましょう。